村上市旧山北町地域の現況について

投稿者: | 2019年6月26日

6月25日、新潟史料ネットではこのたびの地震で震度6強を記録した村上市のうち旧山北町地域を対象に、概要把握調査を行いました。参加者は新潟大学フェロー矢田俊文さんと私原の二名です。今回は地震後間もないということもあり、文化財・歴史資料の保管状況まで踏み込まず、外部から観察できる概要の調査のみを行いました。

以下、現況の要点です。

・被害が大きいのは大字府屋一帯で屋根のブルーシートなども府屋には多く見られました。しかし一方で、他の大字ではブルーシートなどはほとんど見られない。例えば府屋の隣の堀之内集落でわずかに一件のみ、という形でした。

・国登録有形文化財の旧板垣工務店温出保養所(現豪農の館郷思館)は、外部の損傷はみられませんでした。温出集落の方にうかがったところ、その方の家は壁板に少し損傷があっただけで屋根などはまったく大丈夫だったとのこと。とりわけ、1964年の新潟地震の時は時計や土壁が落ちて大変だったが、それに比べると今回はましであった。との話が興味深いものでした。府屋と温出は2kmほどしかはなれておらず、被害の局地集中が見られることがわかります。

・昼食時によった山形県鼠ヶ関のA飲食店では、室内装飾のほとんどが落ち、割れたりして半分になってしまったとのこと。ただし建物や屋根の損傷はなし。

・地主の館として知られる北黒井集落のS家住宅も外部からみた限りの損傷なし。ご当主(不在・集落の他の方からの情報)も大丈夫だと語っておられた由。

・典型的な文化財の損傷例として府屋高岩寺脇の西国三十三観音(昭和初年制作のもの)の例を掲載します。台座ごと斜めに廻り、一部は台座から落ちているのがわかります。破損は幸い少ないようです。

・国道345号添いの海岸集落は、いずれも目につくような大きな損傷はみられない。

以上です。今後文化財所蔵施設、寺社、個人宅などへの聞き取りが考えられますが、そもそもが過疎地域のため、地震の影響より例えば、『山北町史』に掲載されていた史料がすでに処分されていたなどの例も多く出てきそうです。ネットの力量を勘案しつつ慎重に対応することとします。